ルピシアだより 2015年2月号
チェック

チョコレートにはお茶が合う

チョコレートにはお茶が合う

おいしいチョコレートで街中が賑わうこの季節。一緒に合わせるお茶選びにもほんの少しこだわって、格別のハーモニーを楽しんでみませんか?

お茶はチョコレートを引き立てる「名脇役」

皆さんはチョコレートを食べる時、どんな飲み物を合わせますか。コーヒーやウイスキーとの相性の良さは広く知られるところですが、実は紅茶や緑茶、烏龍茶といった「お茶」も、チョコレートと驚くほど好相性なのをご存知でしょうか?

お茶とチョコレートのマリアージュの魅力は、なんといってもそのデリケートに重なる味覚のバランスを楽しめること。お茶はコーヒーやアルコールほど風味のパンチが強くないので、繊細なカカオの風味を消すことなく、単体で食べる以上にチョコレートの魅力を引き出してくれます。それでいて、お茶自身の存在感をしっかりと印象に残すことも忘れません。そう、お茶はまさにチョコレートの「名脇役」なのです。

といっても、お茶もチョコレートも多種多様。そこで今回ルピシアでは、チョコレートとお茶のベストな相性を探る大実験を行い、相乗効果で二倍も三倍もおいしくなる組み合わせを検証しました。すると、試せば試すほど面白い、お茶とチョコレートのおいしい関係が見えてきたのです。

どんなチョコレートにも合う万能のお茶は?

いろいろなチョコレートを食べる機会が増えるこの時期、まず押さえておきたいのが、どんなチョコレートにも合う万能のお茶。失敗のない組み合わせなら、プレゼントやおもてなしにも安心です。

その筆頭格が、イギリス伝統のフレーバードティー、アールグレイ。柑橘の一種、ベルガモットが爽やかに香り立つ紅茶です。アールグレイはチョコレートの素材としてもよく使われていますから、その相性の良さは折り紙つき。チョコレートを食べながらアールグレイを少し口に含むと、気品漂うベルガモットの香りがふわりと鼻に抜けていきます。どんなチョコレートもすっきり爽やかに食べられて、しかもちょっぴり高級感までプラスしてくれる。アールグレイにはそんな魅力があるのです。

一方、ノンフレーバードティーでおすすめなのが、イングリッシュブレンド。実はこの紅茶、今回の実験の中でも特に高い評価を集めたオリジナルのブレンドティー。ポイントは、イングリッシュブレンドのフルーティーな味わいと程よいコクにあります。それがどんなチョコレートも風味豊かに引き立てるのです。また、最後に残す紅茶の華やかな香りの余韻も絶妙。ぜひお試しください。

チョコレートの種類でお茶を選ぶ

次はビターやミルク、ホワイトといったチョコレートの種類別に相性のいいお茶をもう少し詳しく掘り下げていきましょう。


【ビターチョコレート】は、カカオマス(カカオ豆を加工した濃い茶色のペースト)に砂糖やカカオバター(カカオ豆から搾り取った脂肪分)を加えて作ったもの。ミルクが入っていないので、カカオマスの苦味や酸味をストレートに感じられるのが特徴です。

そんなビターチョコレートには、大人のニュアンスを感じるお茶がよく合います。例えば、焼き栗の甘くこうばしい香りを付けたショーレマロン。チョコレートの苦味とマロンの甘く深い香りが見事に溶け合い、チョコレートのコクも一層アップ。より複雑な味わいに変化します。

もう一つのおすすめが養生プーアル茶。熟成した独特の香りで、チョコレートのコクが一段と引き立ちます。それでいて後味はさっぱり。実験の中でも、大人っぽさを強調して楽しみたいというスタッフの間で、特に人気の組み合わせでした。

【ミルクチョコレート】は、ビターチョコレートにミルクを加えたもの。一般的に人の味覚は、ミルクの甘みや乳味感が強くなればなるほど、苦味や渋みを受け入れる許容範囲も広がっていくと言われます。

キリッとした独特の渋みを持つ緑茶とミルクチョコレートの相性の良さは、まさにその証明。ベルギーを代表するショコラティエの巨匠、ピエール・マルコリーニ氏も、チョコレートに最も合う飲み物として緑茶を挙げています。ルピシアのおすすめは、知覧 ゆたかみどり深蒸し煎茶「おまえさま」。甘いミルクチョコレートと、緑茶ならではの爽やかな調和が楽しめます。

【ホワイトチョコレート】は、カカオバターに砂糖やミルクを加えたもの。カカオマスを使わないので、チョコレート色にはならず、乳白色をしています。

ミルキーな甘さが特徴のホワイトチョコレートには、フルーツとハニーが甘く香るルイボスティー、ピッコロがぴったり。ルイボスティー特有の優しい酸味が、甘さの中で心地よいアクセントに。ノンカフェインなので、お子様とも安心して召し上がれます。

チョコレートの中身でお茶を選ぶ

チョコレートの風味は、ナッツやフルーツなど中に入っている素材によっても大きく変わります。次は、その「中身」にフォーカスして、お茶選びのコツを探ってみましょう。


【ナッツ入りのチョコレート】【ナッツ入りのチョコレート】といえば、アーモンドやヘーゼルナッツ、ペカンナッツなどの香ばしい風味が魅力です。ここで覚えておくと便利なのが、「同系のものを合わせると、統一感のあるおいしさを作りやすい」という食べ合わせの基本。ローストナッツの香ばしいチョコレートには、同じく香ばしさが際立つお茶を選ぶと、まず間違いがありません。

例えば、イタリア産古代大麦を低温で長時間焙煎したイタリア伝統の麦茶オルヅォなどは、その典型です。プレーンなオルヅォも好相性ですが、ルピシアのイチ押しは甘い香りを付けたオルヅォ・キャラメルハニー。チョコレートと口の中で交わった瞬間、風味の厚みが一気に増し、驚くほど一体感のある味わいに。実験でも満場一致で「文句なしに合う!」と太鼓判が押された組み合わせです。

また、日本茶を合わせて楽しむなら、香ばしい焙じ茶が◎。香りや旨みが凝縮された信楽(しがらき)熟成ほうじ茶が、特におすすめです。お茶のほろ苦さとナッツの香ばしさが互いに引き立て合い、チョコレートを大人の雰囲気で味わうことができます。

【フルーツ入りのチョコレート】には、フルーツのジャムが入ったものや、果実を丸ごと使ったものなどさまざまあります。合わせるお茶選びのポイントは、これらフルーツの酸味とのマッチング。実験の結果、どんなフルーツとも好相性だったのが、フレーバード紅茶のラムレーズンでした。紅茶の深いコクとラムの余韻がフルーティーなチョコレートに重なって、口の中でしっとり優雅に広がります。

【洋酒入りのチョコレート】というと、ウイスキーボンボンがお馴染みですが、他にもワインやブランデーなど実にさまざま。こちらも実験の結果、どんな洋酒にも合う魅惑のお茶が判明! それが、みずみずしい林檎の香りにこだわったブレンダー渾身のアップルティーです。チョコレートのほろ苦さや洋酒の風味と出会うことで、甘いアップルティーが深みを増してほんのり大人っぽく変化するのが印象的です。

チョコレートケーキに合うお茶は?

バレンタインシーズンの洋菓子店には、チョコレートを使ったスイーツも盛りだくさん。せっかくのこの機会、スイーツの定番、チョコレートケーキに合うお茶もご紹介しましょう。


どんなタイプのチョコレートケーキにも合わせやすいのが、最高級ダージリンとアッサム紅茶をブレンドしたプレミアム アフタヌーンティー。アッサムのコクと適度なボディ感が、濃厚でビターなチョコレートケーキも、クリームたっぷりの甘いケーキもしっかりと受け止めます。上質なダージリンとカカオの香りが上品に調和する贅沢な組み合わせです。

まだまだ尽きない驚きとわくわく

このプレミアム アフタヌーンティーには、紅茶の香り立ちをより華やかにする裏ワザがあるんです。それは、カップの中にウイスキーを軽くひと匙(さじ)垂らすこと。特にビターチョコレートに合わせると絶品です。紅茶、ウイスキー、カカオという三種の香りの相乗効果で、どこまでも深く重層的なハーモニーを味わうことができるのです。

実はこの裏ワザ、いろいろな食べ合わせを試している最中に、ブレンダーが偶然発見したテクニック。お茶の楽しみ方の奥深さと幅の広さに改めて驚かされた瞬間でもありました。

「チョコレートとお茶って、こんなに合うものだったんだね」

お茶好きを自認するルピシアのスタッフでさえ、しみじみこんな感想を漏らすほど、今回の実験は目から鱗の連続でした。百聞は一見に如かず。皆さんもぜひお試しください。きっと思わぬ発見があるはずです。

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