北海道とサケのかかわり
北の大地・北海道とサケとの関係はとても古くからあったことがわかっています。石狩(いしかり)市にある「石狩紅葉山49号遺跡」の縄文時代中期の川の跡からは、日本最古のサケを捕獲するための施設が発見されています。約4000年前、縄文の人々も、この素晴らしい自然の恩恵を受けていました。
サケが生まれた川へ戻る「母川(ぼせん)回帰」の習性は古くから知られており、我が国でも江戸時代中期には、サケが産卵しやすい河川の環境を作るなど、自然ふ化増殖の取り組みがされていました。
日本で最初のサケの人工ふ化事業が行われたのは明治9年(1876)、茨城県の那珂川(なかがわ)。翌、明治10年(1877)、札幌の偕楽園(かいらくえん)(現在は旧跡・日本最古の都市公園)にふ化試験場が完成しますが、当時はまだふ化率が低かったようです。明治21年(1888)、石狩川支流の千歳川(ちとせがわ)に官営の「千歳中央ふ化場」(現在の「さけますセンター千歳事業所」)が完成、これが現在につながるふ化事業の礎(いしずえ)となりました。
一般的に食用のサケは海で捕獲されます。河川に遡上したサケを捕獲するのは主に人工ふ化用のものです。
現在、日本で人工ふ化放流事業が行われているのはサケ(シロサケ)、カラフトマス、サクラマス、ベニザケの4魚種。中でもシロサケは放流量も漁獲量ももっとも多く、秋に収穫されるいわゆる「秋サケ」はこのシロサケのことです。
北海道の生まれた川から海へ旅立ったサケはオホーツク海、ベーリング海を通過し、遠く北太平洋付近まで到達。そこからまた故郷の川を目指して戻ってきます。サケがどのように方角や河川を判断しているのかは、まだ解明されていませんが、磁気や嗅覚によるものだという説が有力です。2万km以上もの旅を経て、故郷の川へ戻るサケには、自然の神秘とロマンを感じずにはいられませんね。