ルピシアだより 2017年9月号
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ルピシア×源右衛門窯 オリジナル茶器「染付一二三文 宝瓶揃」

260年余の伝統が息づく有田の名窯、源右衛門窯とのコラボレーションによって誕生した、オリジナルの宝瓶と湯呑みのセット。手技のこだわりが随所に詰まった逸品です。

商品のこだわり
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源右衛門窯とは

日本磁器発祥の地、佐賀県有田で窯を築くこと260年余り。江戸時代から伝わる有田焼=「古伊万里」の心と熟練陶工の手技を受け継ぎながら、時代と暮らしに適した磁器の機能美を追求し続ける窯元です。日常食器を中心に、インテリアや工芸品まで幅広く開発。ハンガリーの名窯ヘレンドとのコラボレーションなど、新分野に果敢にチャレンジする革新的な姿勢にも定評があります。

ルピシア×源右衛門窯
オリジナル宝瓶揃ができるまで

有田の焼き物は、各工程が専門職人による分業制で成り立っています。何人もの職人の手を介し、ようやくひとつの焼き物が出来上がるのです。

源右衛門窯の工房を訪ねると、熟練の専門陶工たちが黙々と作業に没頭していました。一切の音がなく、張り詰めた空気に包まれた工房は、まるで時が止まっているかのよう。

職人の手から次の職人の手へと、阿吽の呼吸で託される器たち。完成した焼き物には、それぞれのプロフェッショナルたちが吹き込んだ人間味あふれる息吹が宿っていました。

1 成形

原料となる陶石から、器の形を作っていきます。大きく分けて、ろくろ成形と鋳込み(いこみ)成形の2種類があります。磁器は乾燥すると縮むため、その収縮率はもちろん、使った時の手のなじみ、見た目の美しさなども計算しながら、ミリ・ミクロ単位の精密さで成形していきます。

2 下絵付け

素焼きされた器に、焼くと藍色に発色する絵の具「呉須(ごす)」を使って絵付けをしていきます。文様の線を描く工程を「線描き」、面を塗りつぶす工程を「濃(だ)み」と呼び、それぞれ別の専門職人による分業で行われます。

(1) 線描きの様子。呉須を含んだ細い筆を迷いなく走らせ、流れるように文様を描きあげていきます。有田では伝統的に、線描きは男性が行います。
(2) 濃みの様子。太い筆にたっぷりと呉須を含ませ、スポイトの要領で呉須を絞り出したり、吸わせたりしながら塗りつぶしていきます。繊細さはもちろん、思い切りのよさも重要。昔から濃みは女性の仕事です。
(3) あえて塗りムラを生かした濃みを行うことで、生き生きとした味のある表情を創り出していくのが源右衛門窯の大事なこだわり。
(4) 濃み手職人の足元に置かれた液体は、なんと煮出したお茶!昔から、呉須の濃度調節にはお茶が使われているのだそう。お茶に含まれるタンニンが呉須の鉄分と結びつくことで、呉須の沈殿を防ぎ、濃度を均一に保つ効果があるのだといいます。
3 釉薬

下絵の施された器は、乳白色の釉薬がたっぷり入った容器の中に浸けられていきます。下絵の文様はいったん見えなくなりますが、釉薬は焼くと透明のガラス膜となるので、肌につやが出て文様が浮かび上がります。

4 本焼成

薪やガスなどの燃料を使い、1300℃の高温で焼き上げます。火入れから焚き終わりまで2日間。ゆっくり冷ました後、窯出しされます。オリジナル宝瓶揃のように、呉須のみで絵付けされた「染付け」と呼ばれる器は、この工程で完成となります。

源右衛門窯の本窯。二人一組の窯焚き師が、窯の左右から同時に赤松の薪を投入にひたすら炎と向き合います。その日の気温、湿気、風の強さによって薪の量も投入回数も変わってくるため、経験と勘がものを言います。
窯の中の様子。内側の耐火煉瓦は、薪の松ヤニにコーティングされ、ぷっくりとした独特の質感に。
5 上絵付け

本焼成後の器に、赤、緑、黄、金など藍色以外の絵の具を使って、釉薬のガラス膜の上から絵付けをしていきます。白磁に上絵付けを施したものを「赤絵」、染付け(下絵付け)したものに上絵付けを施したものを「染錦(そめにしき)」と言います。

6 上絵焼成

上絵付けが終わった器は、一点一点入念に点検し、細かなホコリを取り除いてから専用の上絵窯へ。釉薬の上に絵の具を定着させるため、800℃前後の低温で焼き上げます。

何人もの職人の手を経て、ようやく完成した器。

日本磁器発祥の地、佐賀県・有田

17世紀初頭、朝鮮人陶工・李参平らによって有田東部の泉山で磁器の原料となる良質な陶石が発見されたことから、日本における磁器の歴史が始まりました。有田郷で焼かれ始めた磁器は鍋島藩の保護育成と厳しい管理のもと、最寄りの伊万里港から「伊万里焼」として全国に運ばれました。このことから、江戸時代の古い有田焼は「古伊万里」と呼ばれています。

泉山磁石場(国指定史跡)

1616年、朝鮮人陶工・李参平により発見された日本初の陶石採掘場。現在、採石は行われておらず、大正以降の有田焼には熊本県天草産の陶石を用いることが多くなっています。

陶山神社

有田焼の守護神、陶山神社。大鳥居や狛犬、大水瓶、欄干などがすべて磁器でできています。神社の参道を横切るようにJRの線路が通っており、全国的にも異色の神社として有名。

トンバイ塀のある裏通り

トンバイ塀とは、登り窯の廃煉瓦(トンバイ)や壊れた皿などを赤土で塗り固めて作った塀のこと。焼き物の町ならではの風情が、人々の日常生活の中に溶け込んでいます。