Q1.新茶にしかない魅力とは?
最大の魅力は、香りと旨み。
その香りと旨みを引き出してくれるのが冬の寒さですね。春に新芽が芽吹くまでは、秋から冬のあいだ、茶の木は休眠期間に入ります。ぐっと気温が低くなる中、じっくりと時間をかけて育っていくので、その分新芽には養分、つまりお茶の成分が凝縮されていきます。そうして育った新芽は二番茶以降と比べて旨みも香りも格段に濃くなるので、これこそ一番茶にしかない魅力ですね。
その香りと旨みを引き出してくれるのが冬の寒さですね。春に新芽が芽吹くまでは、秋から冬のあいだ、茶の木は休眠期間に入ります。ぐっと気温が低くなる中、じっくりと時間をかけて育っていくので、その分新芽には養分、つまりお茶の成分が凝縮されていきます。そうして育った新芽は二番茶以降と比べて旨みも香りも格段に濃くなるので、これこそ一番茶にしかない魅力ですね。
秋から冬の休眠期間中も、茶畑の管理・茶の木の手入れは、日々欠かせません。霜害(そうがい)対策や害虫駆除、堆肥の調整など、茶の木が健康に育つ環境を整えることが最優先です。春を迎え、摘みとるまでは長い道のりですが、手間暇をかけてこそ、新茶の風味は極上の仕上がりになります。
「蒼風」は早稲(わせ)品種で、他に比べて早い時期に摘みとります。摘みとる直前の数日間、茶園に覆いをかけて遮光する「被覆(ひふく)」と呼ばれる栽培方法で、茶葉本来の蒼く爽やかな風味を引き出しています。光合成の量がコントロールされるので、お茶の水色(浸出液の色)も青緑の鮮やかな色になるんです。
初めは大変苦労しましたが、その勘どころというのも年々わかってきて、今では藤の花のようなみずみずしい香りがする、他にはないお茶を楽しんでいただけるようになりました。今の時期は新茶特有の清涼感も重なって、その香り立ちにきっと驚いていただけるはずです。
おいしいお茶を作るには、土壌作りがすべての原点になります。おいしさを引き出すには品質の優れた茶の木を栽培しなければならないし、そうするとまずは、畑の状態が最適な環境に整っている必要がある。新茶が育つ秋口から春先に最も良い土壌に仕上げていくことが、二番茶以降のお茶の味わいにも大きく影響しますから、何よりこの時期が一番気を遣いますね。
「知覧新茶 玉緑茶」は桜島の火山灰の土壌で育ちます。そこに敷き草をしたり堆肥を撒いたり、いかに土中に有機物を増やせるが重要。特に堆肥については、オリジナルのものにこだわっていますね。“ぼかし肥料”と言うんですけど、菜種粕や魚粕を使った植物・動物由来の有機肥料を一度発酵させると、根に負担をかけず、しっかりと養分を与えることが出来る。そうするとグッと味の濃いお茶になるんです。
あとは燻炭という籾殻の炭焼きを撒いたりもします。燻炭の表面には穴が空いているので有機物を生成する微生物の住処にもなるし、土の中の水分量を調整してくれるんですよね。そういった堆肥の配合は、畑の状態の全体のバランスを見ながら緻密に調整しています。本当に奥が深くて、毎日勉強の繰り返し。土壌作りに知恵を絞ることが、一番の面白さでもありますね。
私が手塩にかけて育ててきた茶葉の中でも、味と香りが抜群に良いものを選んで、ルピシアさんのためだけに作っているお茶です。摘んですぐの生葉の状態を見て、仕上がりをイメージしながら製茶工程を細かく調整して作っているので、もちろん味わいにも自信があります。
「玉緑茶」の茶葉は、他の煎茶に見られるピンと針のようにまっすぐな状態でなく、くるっと丸まった“まが玉”のような形。大きくて硬い芽だと、このような形にはならないので、葉の摘みとりは早めに行っています。若い芽は渋みが出にくくて、まろやかな甘みを持った良さがあるんですよね。