いざ、インドへ
ルピシアだより取材班が降り立ったのは、インド東部の都市コルカタ。プープープー!! すさまじいクラクションを鳴らしながら車やバイクが縦横無尽に行きかう街を、呆気にとられながらも歩いていくと、早くもあちこちでチャイの露店や屋台を発見。気温35℃を超える熱気の中、大きな鍋からチャイの湯気と良い香りが立ちのぼっていました。
インドのチャイは、一般的なミルクティーとは違い、茶葉を煮出して作るのが特徴です。イギリス植民地時代の19世紀頃、インド産の上質な茶葉はイギリスヘの輸出に回ってしまうため、国内には品質の劣る茶葉しか残りませんでした。そうした茶葉でもおいしく飲むために考案されたのが、大量の砂糖とミルクを入れて煮出すチャイ。現地ではスパイス(マサラ)を入れたものが多く、マサラ・チャイとも呼ばれます。
衝撃のチャイ体験
取材班が最初に訪れたのは、現地のティーテイスターが一番のお気に入りだと教えてくれたチャイの店。早速注文すると、店主が早口で何かを尋ねてきます。
「んー……???(よく分からないけど)イ、イエス」
思わずうなずくと、出てきたのはサフランがのったチャイ。ええっ、チャイにサフラン!? 日本ではあまり見かけない組み合わせです。
一口すすってみると、さらにびっくり。甘さとスパイスを抑えた上品なチャイに、サフランの重厚な香りが押し寄せてくるではありませんか! おお……、まるでマハラジャの王宮に瞬間移動したような高級感。聞けばインドでは、普段よりリッチな香りを楽しみたい時や、結婚式などでサフラン入りのチャイが飲まれるとのことでした。
続いて取材班が向かったのは、日本人旅行客の間で話題の店。ここの名物は最後に振りかける魔法の粉。なんとインスタントコーヒーなのです。飲んでみると、確かに日本人好みで美味! 茶葉の味が濃く、ジンジャーがガツンと効いた濃厚なチャイに、コーヒーの香ばしさとほろ苦さがよく合います。
現地の方によると、コーヒーをトッピングしたチャイは、インド国内でも珍しいのだとか。それにしてもこの国で出会うチャイには、日本人の固定概念を覆す驚きがいっぱい。インドの人々は私たちの想像以上に自由な発想でチャイを楽しんでいるようです。