標高1,300mに位置する阿里山の茶園では、ちょうど冬摘み茶づくりの最盛期。朝7時30分、たくさんの女性たちが、急斜面の茶畑をものすごい速さで移動しながら、茶摘みに励んでいました。
標高1,300mに位置する阿里山の茶園では、ちょうど冬摘み茶づくりの最盛期。朝7時30分、たくさんの女性たちが、急斜面の茶畑をものすごい速さで移動しながら、茶摘みに励んでいました。
摘みたての茶葉は、すぐに製茶工場へ運ばれ、お茶作りがスタート。茶葉は屋外で平らに広げられ、太陽の光に晒して萎凋します。
萎凋とは、茶葉に含まれる水分量を適度に蒸散させながら、茶葉自体が持つ酸化酵素の働きによって発酵を促すこと。この過程を経ることで、青々としていた生葉の香りが、花や果実にも例えられる独特の芳香に変化していきます。
日光萎凋を終えると、今度は室内に茶葉を移して萎凋を行います。大きな板の上に茶葉を広げて静置しておくのですが、途中、広げた茶葉を2時間おきに数回攪拌(かくはん)します。攪拌によって茶葉同士がこすれ合うことで、発酵が促進するのだそう。
お茶の品質を左右する重要な作業のため、この工程を担うには相当な経験と技術力を要します。
最後の攪拌は、竹でできた円筒型の撹拌機に茶葉を入れ、ぐるぐると回転させて行います。
揺青後、茶葉の香りと味わいが良い状態になったら、それ以上発酵が進まないように殺青を行います。
殺青は、萎凋した茶葉を高温の釜で炒ることで、茶葉の酸化酵素の働きを止める作業です。お茶の香りと味わいをベストな状態でキープするための工程であり、これもまた大変な技術を要します。
殺青が終わったら、すぐさま茶葉を取り出し揉捻機へ。すり鉢のような機械で上から圧力をかけながら揉み込み、茶葉を細長く撚(ひね)っていきます。
茶葉を揉むことで、茶葉の細胞に微細な傷が付き、味や香りなどおいしさのエキスが抽出されやすくなります。
揉捻した茶葉は、大きな布で包み、ぐるぐると巻いてボール状にしていきます。これが台湾茶特有の丸い粒状の茶葉の形を作る「包揉」の工程です。
機械で圧力をかけながらきつく巻き上げられて締まった茶葉は、ドラム型の機械に投入され、乾燥しつつバラバラにほぐされます(玉解)。
この包揉と玉解を20回近く繰り返し、茶葉を丸めていきます。こうして丸い形に仕上げることで、お湯を注ぎ足すたびにゆっくり茶葉が開き、何煎も楽しめる烏龍茶になるのです。
茶葉の形がちょうど良い状態に丸まり、程よい水分量になったところで毛茶(もうちゃ※日本でいう荒茶:あらちゃ)が完成。毛茶は仕上げの焙煎を行い、最終製品が出来上がります。