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「旬」の黒糖ができるまで 「旬」の黒糖ができるまで

お茶や野菜、果物のように、砂糖にも「旬」があることをご存知ですか?原料のさとうきびは温暖な地域で栽培されるイメージがありますが、砂糖の旬は実は冬!ルピシアスタッフは旬の黒砂糖を求め、熊本県南部・芦北町に向かいました。

砂糖ができるまで

不知火海(八代海)の清らかな水や豊富な自然に恵まれた芦北町で約10年前から作られているのが、農薬や化学肥料などを使わずに育てたさとうきびのみを原料にした黒砂糖。

さとうきびは光合成によって葉の表面でブドウ糖を作り、それをショ糖に変えて茎や根に蓄えます。このショ糖を結晶にしたものが砂糖になります。

夏の太陽をたっぷり浴びて育ち、気温が下がるにつれて、最も茎にショ糖が貯まった冬に収穫が始まるのです。

  • 海沿いにあるさとうきび畑

こだわりの収穫

収穫するのは根から約50センチの糖度20度以上の部分だけと徹底し、味の質を保っています。畑が海沿いにあるため、潮風を受けることでより甘さが増すのだとか。搾汁したさとうきびの搾りかすを細かくし発酵させた自家製堆肥を畑に戻す「循環栽培」で、環境にも配慮しています。

収穫されたばかりのさとうきびをかじってみると、植物の青々とした香りの中にほのかな甘みを感じました。

  • 収穫作業の一場面
  • 茎の部分はほんのりと甘い

光る職人技

製糖作業も全て手作業。搾汁後、大きなステンレス製の釜でアクを取りながら煮詰めていきます。300度以上の火力を保つためガスではなく薪を使い、気温や湿度によって火加減や、釜をかき混ぜる速さを調整する様子はまさに「職人技」です。搾汁直後は青緑だったしぼり汁は、徐々に黒蜜色へ。さらに煮詰めていくと黄金色に変わり、作業場中が甘く優しい香りに包まれていきます。とろ〜りとした熱々の黒糖を一口いただくと、滑らかな舌触りにぎゅっと凝縮された甘みが口いっぱいに広がりました。

  • 煮詰め作業の終盤、黄金色のトロッとした液体になる

やみつきの口溶け

煮詰め作業が終わると、別の釜に移し30分ほど絶えずかき混ぜて冷まします。どろっとした感触になったらすぐに型へ流し込みます。あっという間に固まり、表面はべっこう飴のようにキラキラと輝いて見えました。

1回の作業でできる黒砂糖は、収穫したさとうきびの「1/10」とごくわずかな量しかとれません。搾汁から型への流し込みまで一工程にかかる時間は約3時間。手間暇をかけ、貴重な黒砂糖が出来上がるのです。

サクッと軽やかな中にもしっとりした食感があり、口の中でほろほろと溶ける。まるで南国で育ったマンゴーのような程よい酸味と癖のない甘さのバランスはやみつきになるおいしさです。

  • みずみずしいフルーツのような甘さ

旬ならではの香り高さとフレッシュな味わいは、日本茶や台湾茶などのお茶との相性も抜群です。そして、この時期にぜひ味わってほしいのが新茶との組み合わせ!みずみずしい摘みたての新茶と、爽やかな黒糖の「旬」同士の出合いをご堪能ください。