香りの決め手「萎凋(いちょう)」
夕方、茶園に到着した取材班。早速、建物の地下にある製茶工場へと向かうと、早くも階段の途中からほのかに甘い芳香が漂ってきます。
この時、工場内で行われていたのは「室内萎凋」の工程。萎凋とは、摘んだ生葉を広げて放置し、水分を飛ばして萎(しお)れさせ、茶葉の酸化発酵を促す作業です。
「青臭かった生葉の香りが、萎凋をすることでだんだんと花や果実のような烏龍茶独特の香りになっていくんだよ」。そう教えてくれたのは、この道30年の萎凋の達人・陳さん。室内萎凋では、途中、広げた茶葉を2時間おきに攪拌(かくはん)する作業が4回も入ります。陳さん曰く「攪拌は寝ている茶葉を起こす作業」。茶葉をかき混ぜることで茶葉同士がこすれ合って、より発酵が進むのだと話します。