文化と誇りを胸に 世界に挑んでほしい
井上康生(こうせい)監督率いる柔道男子日本代表やソフトボールの上野由岐子選手、ボクシングの村田諒太選手……。日本を代表するアスリートたちの間で、今、茶道の輪が広がっているのをご存じでしょうか。
連日、様々なアスリートがこぞって訪れているのは、茶道家・小堀宗翔(こぼりそうしょう)さんが主宰する「アスリート茶会」。小堀さんは江戸時代から続く遠州茶道宗家13世家元の次女であり、ラクロスの現役選手でもあります。
小堀さんがアスリート向けのお茶会を始めたのは、2013年に日本代表として出場したワールドカップでの体験がきっかけ。アメリカなど強豪国の選手たちは国を背負っている誇りや覚悟に満ちあふれているのに対し、自分たち日本代表には何かが足りない……。強豪国との圧倒的な差に自信を無くしかけていた時、小堀さんを救ったのがお茶でした。
「大会期間中、持参した茶道具で海外選手にお抹茶を点てて差し上げました。その瞬間、彼らが私たちを初めて日本人として認識し、リスペクトの眼差しを向けてくれたのが印象的でした」
2020年は海外から大勢の方が日本を訪れ、日本文化に関心が集まるまたとないチャンス。
「選手の方には競技の強さや上手さだけでなく、日本文化を背負って大きく羽ばたいてほしいという思いで、アスリート茶会を始めました」