砂古玉緒さんの”幸せスコーン”

人々の語らいのテーブルに寄り添い続ける焼き菓子

英国菓子の代表、スコーンの故郷はスコットランド。田舎の労働者たちが夕方の仕事に備え、お腹を満たすために食べた素朴な焼き菓子が原型です。側面に「狼の口」と呼ばれる腹割れができるのが「田舎のスコーン」の特徴。粉の風味を生かした素朴な味わいは、今なおイギリス各地で人々に愛されています。さらに時代が進むと、スコーンはイギリス上流階級の人々が楽しんだアフタヌーンティーにも欠かせないお菓子になりました。生クリームや卵などの贅沢な素材を用いて焼く「ロンドンのスコーン」は、より都会的で洗練された味わいに進化。スコーンにクロテッドクリーム、ジャムを添えて、紅茶をよりカジュアルに楽しむクリームティーも、人々の暮らしに浸透しました。これからも、時代の変化に寄り添いながら、日常の語らいの中心にスコーンはあり続けるでしょう。それが、スコーンの一番の魅力だと思います（談）。