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■手提げサイズ/ルピシア手提げ 小、Xmas手提げ
青郊窯レポート
石川県能美市に位置する九谷焼「青郊窯」。2018年より毎年桜の季節に、ルピシアのオリジナル豆皿を制作いただいている窯元です。今回は、2024年クリスマステーマ「オチャ カヲル ノエル」のコンセプトでもある「和の心」にちなみ、お茶時間を楽しんでいただくための、オリジナルの茶杯と豆皿を作っていただいたので、久しぶりに窯元を訪ねました。
普段は社長自らがデザインも行う青郊窯ですが、ルピシアとの制作では、ルピシアの社内デザイナーがデザインを担当させていただいています。デザインについては、過去にインタビューや対談をさせていただきましたので、下記よりご覧ください。
過去のインタビュー記事:
≫ 青郊×ルピシア オリジナル桜豆皿 制作秘話
≫ 温故知新 〜未来に繋がる ものづくり〜
株式会社 青郊 北野 啓太 代表取締役
青郊窯について
青郊窯は大正初期に創業、100年以上の歴史を持ち、伝統工芸・九谷焼の絵付けメーカーとして、自社で無鉛和絵具の開発を行い、色絵の可能性を広げてきました。現在では、様々な分野に挑戦される九谷焼を代表する人気の窯元です。
青郊窯の製品は、一部手描きもありますが、99%において印刷をしています。自社に転写紙印刷機までを持つ窯元は全国的にみても少ないそうです。
また、焼成窯は毎日稼働していて、年間100万ピース(!)もの製品が生産されており、九谷焼でも最大生産量とのことです。
以前に、なぜ印刷という技法を使われているのかを伺った際に、九谷焼を広めたい、そのためにはもっと日常的に使われる製品を多く作り、高品質な九谷焼を手の届きやすい適正な価格で販売することが重要だと思っている、と語られていたことを思い出しました。
最大の特徴、和絵具について
青郊窯のものづくりを語る上で外せない、製品に印刷するための和絵具は、3代目の先代が長年取り組まれて作り上げた、90%以上自社開発のものだそうです。色の美しさはもちろんのこと、安全性の高い絵具を開発することで、食品にも使用できるものとなりました。実は、食品衛生法に対応した日常食器の歴史は浅く、ここ40数年ほどのことだそうです。
和絵具の特徴としては、大きく2つあります。
1つ目は、他の焼物には無い表面の光沢感。ガラス質のため透明感があり、色鮮やかな表現ができます。また、和絵具は九谷五彩とも呼ばれ、多く数えても5〜6色だそうです。そのため、濃淡で繊細な表現をしていきます。豪華なデザインでもどこかまとまって見えるのはそのせいかも知れません。
2つ目は、焼き上げるとシームレスになること。シームレスとは、継ぎ目がない、境い目がない、といった意味の言葉で、転写紙印刷という技法では、どうしても貼り合わせの継ぎ目が生まれるものですが、和絵具は焼くことによって絵具が溶け合うため、転写紙の貼り合わせ部分が目立ちにくくなるということでした。実際に、ルピシアのデザイナーが貼り合わせ位置を教えていただいたのですが、まったくわからない!と驚いていました。
また、転写紙を貼りやすくするために、生地の形状にも非常に気を遣われており、いかに美しくかつ効率よく作るかという細やかな心配りがされていました。
技術力の高さの象徴、絵付けについて
青郊窯を訪れる度に、何度見ても驚くのが、絵付け技術の高さ。
窯から焼き上がった製品の2〜3割は、細かい箇所の修正が必要な製品となってしまいます。修復箇所と言っても素人が見てもすぐにはわからない細かい箇所も多くあります。これを全て、手作業で修復していきます。和絵具のシームレスになるという特徴が、ここでも力を発揮します。和絵具は、修復した箇所も元の絵と溶け合うため、修復したことが全くわからなくなり、立派な製品となります。もちろん、何かの不具合が出ることはありません。洋絵具ではこの作業はできないそうで、この作業もあってこその生産量、価格となります。修復できない場合、その販売できない製品分も含めた販売単価になってしまうからです。これも、九谷焼を広めるために、長年取り組まれてきた知恵と工夫です。
結果がわかっていることをやっても面白くない
デザインや版の作成など、様々な視点で過去にも多く語っていただいた北野社長ですが、その根底にある想いはひとつのように、今回改めて実感しました。
話の中で、北野社長が「結果がわかっていることをやっても面白くない」と仰っていたのが印象的です。
そのときに仰っていたのが「結果がわかっていることをやっても面白くない。わからないことをやるから面白い。」でした。「難しいなぁ、できるかなぁ、いや、できるか?!できるかも……」と言いながら、北野社長のお顔はとても楽しそうでした。そうやって、代々さまざまなことに取り組まれてきたのだな、と改めて思いました。
青郊窯とルピシアの、結果がわからないことの先に、面白いものづくりがあることを楽しみにしています。皆さまにご案内できる日がくるよう、お互いに創意工夫を重ねたいと思います。